メイクレシピ:低音調理の例#1
おそらく一番ニーズが多い【重低音】の調節の方法を、既存プリセット音色カスタマイズを事例に解説。
題材とするプリセット音色
本題材は、中域の広がりが特徴のバランスがいい音色です。どんな曲でも美しく聴ける音色ですが、これを、ゴリゴリに激しいロックな音色に変えてしまいます。
課題曲は、パンテラ
♪ アーティスト:Pantera
♪ トラック: Mouth For War
♪ 収録アルバム: Vulgar Display of Power (1992年)
(アマゾンのプライムミュージック、などのストリーミングで聞けます。)
バンド解散後、ギタリストのダイムバック・ダレルが、ステージで演奏中に銃撃されて他界、という伝説のバンド、パンテラ。
このアルバム、邦題がすごくて、その名も 「俗悪」。。。(うーん、ピンと来るといえば来ますねw)
この曲でいきましょう。
まず、題材となるプリセット音色を選び、この音で課題曲を聞いてみてください。
Before
これがプリセット音色
Point of No Return
DRIVE = 5
の設定です。
こいつをいじってみます。
After-1
プリセット音色をメイクするにあたっては、各帯域のゲインを上げ下げするだけで、おおよその調整が出来ると思います。
また、音量が派手に変わってしまう場合、都度 Master Gain も調整しましょう。
課題曲を再生しながら、下記の変更をしてみてください。
Band 1: 4.5 → 8
Band 2: 5 → 8
Band 3: 5 → 7
に上げ、
Master Gain: 5 → 0
Band 1 ~ 3 をいじっている間に、音が大きすぎ、と思ったら、途中で Master Gain を下げてください。最終的には 0 で落ち着くと思います。
これを一度新規保存して、元の音色と聴き比べてみてください。
もしかすると、、、低域をブーストして迫力が出たのはいいんだけど、ちょっと全体がボヤケた、、、そんな印象をもったかも。。。
一度、調整しましょう。
After 2
Band 5: 5 → 6.5
に上げてみましょう。 ちょっと印象変わりますよね?(もし、うるさいかな、と思ったら、 Master Gain を下げてください)
こんな風に、ちょっとした調整で印象が変わります。
微妙な違いって、気のせいなんじゃいか?、って思うかもしれませんが、
ちょっとした違和感を感じる場合、それってだいたい、なにかが違う、というコトです。
あと、何時間も聞いてると、耳(というか、信号を処理する脳の方)が慣れてきてしまって、印象が変わったりもします。
休憩をいれましょうw
やり過ぎになっちゃう例
次に、
After2 のメイクで、今回の課題曲(パンテラ)でなく、次の曲を来てみてください。
♪ アーティスト:The Smashing Pumpkins
♪ トラック: Jellybelly
♪ 収録アルバム: メロンコリーそして終りのない悲しみ - Mellon Collie and the Infinite Sadness (1995年)
ちょっとやりすぎ感ありませんか?
もし、そう思ったら、元になった音色:(Point of No Return )を選んでみてください。多分、しっくり来たのでは。。。
スマパンの上記の曲は、最初からゴリゴリに低域のブーストがかかっています。だから、そこをメイクしたら、TOO MUCH になっちゃうのです。
テイラーメイドのジレンマ...
さて、
最後に聞いてもらった例の様に、なにかにピッタリあわせると、他のものに合わなくなります。まるで、Aさんにピッタリ合う様に仕立てた服が、Bさんには合わないように。
「一長一短」とはまさにこのことですが、それでいいのです。ピッタリに合わせる、というのは、そういうモノなのです。
これは、どんなイヤホンでもヘッドホンでもスピーカーでも、洋服でも、多くの領域で同じ。
そして、私たち聞き手と同じ様に、音楽の作り手にもこのジレンマがあります。
スタジオで製作した楽曲を、最終的にどんな音に仕立ててリリースするか。その時、リスナーがどんなシステムでその音を体験するか、それに合わせてマスタリングを行うそうです。大昔であれば、ラジカセやステレオコンポ、現代であれば、スマホと接続するイヤホン、でしょうか。
そうした、聞き手の環境の最大公約数にあわせた音に仕立ててリリースする、というか、そうせざるをえない。
本当は、スタジオの制作環境みたいな音をみんなに届けたいとしても、それって現実的ではありません。(ちょっと脱線しますが、だからこそ、ライブ会場で聴くって、価値がある体験になりますよね。アーティストが聞いてもらいたい音を聴けるから)
さてさて、
サウンドメイクイヤホンは、ユーザーがそれぞれに、自分の音で聴ける調整を出来るイヤホンです。
無数に音色の設定をつくり、自由に一瞬でそれを変えるコトができるれば、そのジレンマが解消されます。
だから、プリセット音色に何十個も音色を放り込んでいるのですが、本当はそれでもたりません。
だから、開発者と同じ自由度で、ユーザー自身が自由にカスタマイズをして、たくさん保存できればいい。
そうして誕生したイヤホンです。
そんな、カスタマイズの方法をお伝えしました。
ぜひ、参考にしてください。